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【図解】差し歯って何? 被せ物とか、クラウンとか、何が違う?

「差し歯」とは?——現代の歯科治療が「被せ物」と呼ばれる理由

「差し歯が取れた」「差し歯をきれいにしたい」と、患者様から聞くことがあります。
しかし、歯科医療の現場では、近年、この「差し歯」という言葉を使う機会が少なくなってきました。

いま改めて聞きたい「差し歯」という治療

「差し歯」とは、どういうものなのか。
「差し歯」と「被せ物」、何がどう違うの?と思われているのではないでしょうか。

実はこの2つの”言葉”、現在ではほとんど同じ意味で使われています

しかし、少し前までは構造や治療方法に違いがあり、「差し歯」と呼ばれる治療が確かに存在していました。

昔はよく聞いたのに、最近は使われなくなった理由

近年では、歯科医療が大きく進歩し、治療法や素材が多様化し、「差し歯」は、「被せ物」という治療方法に変わってきました

つまり、「差し歯」という言葉は昔の治療法の名残であり、今では“被せ物治療”と呼ぶほうが、一般的になりました

患者様が混同しやすい“差し歯”と“被せ物”の違い

「差し歯」と「被せ物」の治療の違い

差し歯と被せ物の違い

差し歯治療について

まず「差し歯治療」について説明していきます。

以前は、虫歯やケガで歯の大部分を失ったとき、差し歯で治療がされました。“差し歯”とは、歯の根の部分(歯根)が残っているところに(患部)、金属などでできた心棒(しんぼう)=ポストを差し込み、その上に人工の歯を固定する治療でした。つまり、「歯の根に差し込む」構造だったため、「差し歯」と呼ばれていたのです。

差し歯

被せ物について

近年では、歯を削る量をできるだけ少なくするために、「コア」と呼ばれる土台を作り、その上に被せ物を入れる治療が主流になっています。歯を削った上から人工物を被せるため、英語で「クラウン(Crown)」と呼ばれます。

被せ物・crown
被せ物を英語で呼ぶとクラウンといいます。
被せ物 と クラウンは、同じです。
被せ物 =(イコール) クラウン

どちらも、ご自身の歯の根っこ(歯根)が残っている場合に行う治療方法であり、時代とともに“差し歯”から“被せ物”の治療へと移り変わってきました。

どんなときに行う治療?

被せ物の治療

  • 大きな虫歯や外傷で、歯の大部分を失ったとき
  • 神経を取った歯(根管治療後)を補強したいとき

部分的な詰め物(インレー)では補えないほど歯を失っている場合、被せ物治療(差し歯治療)が適用されます。

昔と今、構造の違い──「差し歯」と「被せ物」を比べる

昔の差し歯は「金属の心棒と人工歯が一体型」でした。現在の被せ物治療では、コア(土台)とクラウン(被せ物)を分けて作るのが一般的です。

比較項目 昔の差し歯 現在の被せ物治療
  差し歯 被せ物・crown
構造 心棒と人工歯が一体化 土台と被せ物が分けられている
素材 金属が中心 セラミックなど
見た目 金属が透けることも 天然歯に近い透明感
取れやすさ 接着力が弱く取れやすい 接着技術が進化し安定性が向上

いまの「差し歯治療」と「被せ物治療」は同じ意味?

現在では、「差し歯治療」と「被せ物治療」は、ほぼ同じ治療を指します。厳密に言えば「被せ物(クラウン)」とは、土台の上にかぶせる人工歯のことです。

昔は心棒と人工歯が一体化して歯根に差し込む構造が主流でしたが、現在では、土台とクラウンを分けて精密に作製するのが一般的です。そのため、昔のように「差し歯を差し込む」という表現は使われなくなっています。

混同しやすい「差し歯」と「被せ物」

虫歯・ケガなどで、歯の大部分を失ったときに行われる治療です。

  • 差し歯は、“歯の根に差し込む”構造です。歯根の中に金属の心棒(ポスト)を差し込み、上に人工の歯を固定します。
  • 被せ物は、歯を できるだけ削らずに土台(コア)を作り、その上に被せ物を装着する構造です。

現在、主流の「被せ物治療」について

近年は、“差し歯”に代わり、”被せ物”の治療が行われます。

保険適応の被せ物の治療では
・前歯であれば、白いプラスチック(硬質レジン前装冠)
・奥歯であれば金属が使われます(一般的に銀歯と呼ばれているもの)

前歯の場合

保険適用の被せ物・差し歯

奥歯の場合

保険の被せ物・銀歯

「被せ物治療」素材の進化

被せ物の素材

被せ物に使われる素材は、ここ10年ほどで大きく進化しました。

かつては、メタルコアやプラスチック前装冠など、金属をベースにした素材が広く使われていました。見た目の自然さよりも強度を優先した治療が中心だったため、歯ぐきが黒く見えてしまうことや、金属アレルギーのリスクが生じる場合もありました。

  • メタルコアとは:保険治療で最も一般的に使用されている金属の土台(コア)のこと
  • レジン前装冠とは:硬質レジン前装冠のことで、金属のフレームの外側(見える部分)に硬質レジン(プラスチック)をコーティングしたもの

一方、現在は自費治療にはなりますが、
セラミックやジルコニアなどの審美性に優れた素材が選べるようになりました。周囲の歯と調和しやすく、自然で違和感のない仕上がりが期待できます。

被せ物白い歯

昔と全然違う、今の被せ物事情

セラミックやジルコニアなどの素材が普及し、

・見た目
・耐久性
・接着技術 が、大きく進化しました。

「昔の差し歯や被せ物は取れやすかった」と感じていた方でも、今の被せ物治療では安定性が高く、再治療のリスクも大幅に減少しています。これは素材の進化に加え、マイクロスコープや口腔内スキャナーによる精密な治療が可能になったことも理由のひとつです

被せ物の特徴
(ジルコニアやセラミックの場合)

  • 見た目が自然:透明感のあるセラミックで、周囲の歯になじむ仕上がり。
  • 長持ちする:強度が高く、金属を使わないため変色や腐食が少ない。
  • 歯にやさしい:金属を使わないことで、歯ぐきの変色や金属アレルギーの心配が少ない。

なぜ、セラミックの被せ物は、むし歯を再発しにくいのか?

セラミックと二次虫歯

治療した歯は、残念ながら将来、むし歯が再発する可能性があります。特に金属の被せ物(いわゆる銀歯)は、時間の経過とともに劣化しやすく、歯との間にわずかなすき間が生じやすいという特徴があります。そのすき間に汚れや細菌が入り込むことで、治療したはずの歯が再びむし歯になる——これが 二次むし歯です。

一方、セラミックの被せ物には、次のようなメリットがあります。

  • 劣化しにくいため、歯とのすき間が生じにくい
  • 表面がなめらかで汚れが付着しにくい
  • 精密にフィットしやすく、治療の精度が高い

これらの特性により、二次むし歯のリスクを抑えやすい点が大きな特徴です。さらに、周囲の歯と自然に調和する白さがあり、見た目も美しく、口元の印象が自然に仕上がるという審美性も備えています。

インプラントと「差し歯治療」──形は似ていても全く違う

見た目はどちらも「人工の歯に棒が付いている」状態ですが、構造は全く異なります。

差し歯
インプラント
項目 差し歯 インプラント
支えとなる部分 自分の歯の根を利用 人工の歯根(チタン)を埋め込む
適応条件 歯根が残っている 歯を失った場合
費用・期間 保険適用も可能 自費治療が中心・期間が長い

歯の根が残っているかどうかが大きな違いです。インプラントの治療は歯を失った時の治療です。

「差し歯とインプラント、どちらがいいの?」という疑問には、残っている歯の状態によって適した治療法が変わる、というのが正しい答えです。

そして、現在の治療では、多くの場合、差し歯での治療ではなく、被せ物の治療が行われます

これから治療を考えている方へ──どちらの説明が正しい?

歯科医院によっては、今でも「差し歯」という言葉を使うことがあります。しかし、内容としては“被せ物治療”を指していることがほとんどです。

「差し歯」と説明されたときの注意点

① 「差し歯=古い治療」と決めつけない

「差し歯」と言われても、実際には最新の被せ物治療を意味している場合があります。言葉だけで古い治療と思い込まず、どのような構造・素材を使うのかを確認しましょう。

②「どの部分を治療するのか」を確認する

“差し歯”の治療と言われた場合、以下のような点を確認しておくと安心です。

・土台(コア)はどんな素材なのか
・被せ物の素材は何か(保険・自費)

③「費用・見た目・耐久性」を正しく理解する

「被せ物(差し歯)=銀歯」と思っている方も多いですが、実際にはセラミックやジルコニアを選べるケースもあります。素材によって見た目や寿命、費用が大きく変わります。
金属以外の被せ物

同じ“被せ物”でも、治療内容や仕上がりは大きく異なります
わからない点はそのままにせず、歯科医師に質問してみることが大切です。

まとめ:差し歯から被せ物治療へ
歯を守る治療は進化しています

「差し歯=被せ物(クラウン)」と考えて差しつかえありません。

素材・技術・精度は大きく進化し、見た目が自然で、長く快適に使える治療に変化しています。
昔の印象のまま「差し歯は古い治療」と思っていた方も、ぜひ一度、現在の“被せ物治療”を知っていただければと思います

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