歯ぐきから血が出た時の歯科治療
歯ぐきの出血はお口の中の危険サイン
歯ぐきからの出血は、特別めずらしいことではなく、そのまま放ったままにしていませんか?
歯ぐきからの出血はお口の中のトラブルにとどまらず、体全体に影響をおよぼす場合もあるため注意が必要です。
出血の原因
歯ぐきからの出血の原因はいくつか考えられます。
- むし歯があり歯ぐきの中まで進行している
- 歯の被せ物が合っていない
- 歯周病などで、歯ぐきが炎症を起こしている
- 歯みがきのブラッシングが強い
4つの原因のうち、特に多いのは「歯ぐきの炎症」からの出血です。
そして歯ぐきの出血の原因は、ほとんどが「歯周病」によるものなのです。
そのまま、ほうっておくと
歯周病は痛みがなく、自覚症状がほとんどないまま進行していきます。
放っておくと顎の骨が溶け、歯がぐらつき、その結果
歯を失うことになってしまいます。
歯を失う原因はむし歯ではなく、歯周病が最も多いのです。
歯ぐきからの出血は歯周病のサインであり、口の中に異変を感じたら速やかに歯科医院の受診をおすすめします。
歯周病について詳しくはこちら
また最近では歯周病が
- 糖尿病
- 脳梗塞
- 心臓病など
妊娠中の女性は特に注意
妊婦さんは歯肉炎になりやすい
妊娠するとホルモンのバランスが変わることにより、歯肉炎や歯周病にかかりやすいです。
はじめはほんの小さな歯ぐきの腫れや出血でも、
放っておくと炎症が広がり歯周病に進行してしまう可能性もあります。
ホルモンバランスが原因だけではなく、唾液が減少する傾向にもあり、むし歯や歯周病にかかりやすくなるため、
妊娠中はとくに注意が必要です。
早産のリスクが高くなる
妊娠中に歯周病になってしまうと、
影響するのはお母さんのお口の状態だけではなく、早産や低体重児など、赤ちゃんへのリスクが高くなるという調査結果があります。
歯周病によるそのリスクは早産などの可能性が約2.3倍、低体重児出産が約4倍にもなると言われています。
妊娠する前から歯みがきで出血していた人は、歯周病に進行する可能性が高いので、
お腹の赤ちゃんのためにも歯周病を防ぐ対応をしておくことで
早産のリスクも減らすことができます。
元気な赤ちゃんを迎えるためにも、お口の中を良い環境に保つことが大切です。
出展:NPO法人日本臨床歯周病学会
妊婦さんが歯科治療を受けられるタイミングは?
妊娠5〜7ヶ月(16週〜28週)の妊娠中期は安定期に入るため、 通常の歯科治療を受けることができます。 妊娠初期に歯周病などの気になる症状がある場合は、母体の負担にならないように 応急処置のあと、安定期に入ってからの治療がおすすめです。
歯ぐきの病気の治療方法
歯科医院での歯周病の治療
軽度の場合(歯周病初期)
歯科医院で歯垢や歯石を取り除き、自宅で使う歯ブラシやフロスなどの選び方も含め、正しい歯みがきの方法をアドバイスします。
治療後、歯ぐきの状態をチェックし、良い状態であれば定期的に歯科医院でのクリーニングを継続していきましょう。
- 歯科衛生士から正しい歯みがき方法のアドバイス
- 数回の歯のクリーニングで回復の見込みがあります
- 約1ヶ月(1〜3回)
中度・重度の場合
出血だけではなく膿が出ているなどの症状の場合は、炎症を抑える投薬をし、歯周ポケットの深い部分の歯垢や歯石を除去します。
症状が改善しない時は、歯ぐきを切開し、歯の根っこに付着した歯石を取り除く外科的な治療を行います。
治療後も定期的な歯ぐきの検査を行いながら、継続的なメンテナンスが必要です。
- 投薬。歯ぐきの奥の歯石を除去します
- 外科の処置が必要な場合もあります
- 約3ヶ月(4〜8回)
歯ぐきの出血が治るかどうか
歯ぐきの出血の原因は、歯ぐきの周りの細菌が原因でおこります。
歯ぐきが出血などをおこし状態が良くない方は、
初期の症状であれば、適切なケアで出血を止め、歯ぐきの状態が改善される見込みがありますが、
重度の歯周病に進行してしまっている場合は、出血を止めることはできますが、
細菌(歯周病の菌)で歯ぐきがさがり、溶けてしまったあごの骨は、もとに戻すことはできません。
歯ぐきからの出血は「歯ぐきの異常のサイン」です。
すみやかに歯科医師に相談されることをおすすめします。
抜歯しなければならない場合
手遅れになってしまい、やむを得なく、抜歯しなければならない場合は、入れ歯やブリッジ、
インプラントの治療の選択になります。
ご自宅でのケアのアドバイス
歯周病の根本的な原因は歯垢です。
歯みがきをしていたとしても適切な位置に歯ブラシが当たっていないと歯垢がたまってしまいます。歯垢を放置していると歯周病になることがあります。
「歯と歯の間」「歯と歯ぐきの境目」「噛み合わせ」など歯垢(プラーク)がつきやすいところに、しっかり歯ブラシの毛先が届くように正しい歯みがきをしましょう。
歯ブラシで、歯周病の根本である歯垢を取り除き歯周病を防ぐことができます。
歯ぐきの病気と生活習慣
- 歯周病などの歯ぐきの病気は、日々の生活習慣が発症や進行に大きく影響することが分かっており、生活習慣病とも言われています。
- 疲労やストレスがたまっている
- 運動する習慣がない
- 食生活が乱れがち
- タバコを吸う
- 十分な睡眠がとれていない
睡眠不足や偏った食生活、喫煙など、悪い生活習慣が歯周病をまねくので、生活習慣もしっかりと見直すことが大切です。
あてはまる項目がある人は要注意!!
継続的に正しいケアを
行いましょう
初期の歯周病は痛みがなく静かに進行していく病気です。
歯周病は歯を失う原因第1位で、早期の発見が重要です。歯ぐきから出血したらまずは歯周病を疑いましょう。
日頃から
- 「ご自宅でのケア」と
- 「歯科医院でのクリーニング」の
両方を実践し、継続して、出血の予防(歯周病の予防)を行いましょう。
また、むし歯などの他のお口の中の疾患が原因で出血している場合もあります。
できるだけはやく、歯科医院の受診をおすすめ致します。