歯周病予防に欠かせない「歯周ポケットの掃除」について詳しく解説します。
歯周ポケットの掃除は、歯と歯茎の間に潜む細菌を除去し、お口の健康を維持するために非常に重要です。
歯周ポケットとは？
歯周ポケットとは、歯と歯茎の間に存在する溝のことを指します。この細かな隙間には、口腔内の細菌が潜んでおり、これが歯周病の原因となることがあります。
健康な状態では、この溝は1〜3mm程度の深さです。
しかし、歯周病が進行すると、この溝は深くなり、
・3mm以上になると注意が必要です。
・4～5mmで初期の歯周病、
・6mm以上で中度、重度の進行した歯周病と診断されます。
歯周ポケットが深くなる原因
歯周ポケットが深くなる最も一般的な原因は、プラークと歯石の蓄積です。
これらは、歯と歯ぐきの間に細菌が溜まり、炎症を引き起こす可能性があります。
炎症が起こると、歯ぐきが歯から引き離れ、ポケットが深くなっていきます。
口腔内の細菌には、「好気性菌」（空気が好きな菌）と「嫌気性菌」（空気が嫌いな菌）の2種類が存在します。空気が嫌いな嫌気性菌は、空気が届きにくい歯と歯茎の隙間に生息し、さらに奥へと進入します。これにより、歯周ポケットが深くなります。
歯科医院で歯周ポケットを掃除する方法
歯周ポケットに溜まった歯垢（プラーク）と歯石をきれいにするために、歯科医院でおこなう方法は
・「スケーリング・ルートプレーニング（SRP）」、
・「デブライドメント」、
・「歯周外科治療（フラップ手術）」の3つがあります。
スケーリング・ルートプレーニング（SRP）
スケーリング・ルートプレーニング（SRP）は、歯周病の治療のために行われる歯科医療の一種です。SRPとは、歯周ポケットの歯石や歯垢を取り除くことで、歯周病の進行を遅らせるために行われます。
歯周病は、歯肉と骨の破壊を引き起こし、最終的に歯を失ったり、健康状態に悪影響を与えることがあります。SRPは、歯周病が進行していない場合でも、歯周病の予防のために定期的に行われることがあります。
SRPは、歯周ポケットの深さを測定することで、歯周病の深刻度を判断することができます。歯周ポケットの深さが4mm以上になると、歯周病が進行している可能性が高くなります。SRPは、歯周病の進行を遅らせるために行われるため、歯周病が進行している場合には、SRPに加えて、歯周病治療を行うことが必要です。
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デブライドメント
デブライドメントは、歯周ポケット内のプラーク（細菌の塊）を取り除く治療です。手動の器具や超音波などを用いて行われ、歯周ポケット内部のプラークを除去します。
歯周外科治療（フラップ手術）
歯周外科治療（フラップ手術）は、進行した歯周病に対して行われる外科処置です。部位の歯茎を切開し、深い歯周ポケットに残存しているプラークや歯石などを除去します。
歯周ポケットをケアする方法
歯周ポケットのケアは毎日の口腔ケアと定期的な歯科医院での治療が重要です。具体的には以下の3つの方法があります。
毎日の歯磨き
毎日の歯磨きは、歯周ポケットをケアするための基本中の基本です。
食後3回、特に睡眠前には十分な時間をかけて行うことが重要です。
歯間ブラシ・フロスの使用
毎日の歯磨きだけでなく、歯間ブラシやフロスを使用して歯と歯の間の歯垢を除去しましょう。これにより、口臭予防にもつながります。
歯科医院での定期健診
歯科医院では、歯のクリーニングや歯石除去を行っています。自宅のケアでは落としきれない汚れを除去することができます。また、歯磨き指導も行っています。
歯周ポケットを歯ブラシでケアするポイント
歯周ポケットの掃除は自宅でも行うことができます。
以下に、自宅での歯周ポケット掃除のコツを3つ紹介します。
ブラシを歯肉との境目に当てる
歯周ポケットを掃除するコツの一つとして、歯と歯ぐきの境目を中心に歯磨きを行うことがあります。
ブラシの毛先を45度の角度であてることがポイントです。
ブラシを細かく震わせる
歯磨きの際には、ブラシを細かく震わせることが重要です。これにより、毛先が歯間に入ったまま、歯周ポケットをしっかり狙って磨くことができます。
歯磨き粉は付けすぎない
歯磨き粉は付けすぎないように注意しましょう。大量につけると清涼感があり、汚れが落ちていないのに磨いた気分になってしまうためです。
歯周ポケットが深くなると何が起こるのか？
歯周ポケットが深くなると、口腔内で様々な問題が起こります。まず、歯ぐきが腫れて痛みを感じることがあります。さらに、歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、歯が抜けてしまう可能性があります。
また、歯周病が進行すると口臭が強くなったり、知覚過敏になったりすることもあります。これらの症状を防ぐためにも、歯周ポケットが深くなる前に、歯科医院で定期的に掃除を行っていただくことが重要です。
歯周ポケットの深さを測定する大切さ
歯周ポケットの深さは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使って測定します。この測定結果は、歯周病の進行度を判断するための重要な指標となります。
歯周ポケットの深さが2mm以下ならば健康な状態とされ、3mm以上になると歯周病の初期症状があると考えられます（4～5mmの深さなら初期の歯周病、6mm以上の深さなら中度、重度の歯周病と判断）。
歯周病は、痛みなどの自覚が出づらい病気です。
気がついた時には進行して、歯を失ってしまう方が大勢いらっしゃいます。
歯を失う理由の１位は、虫歯を超えて歯周病です。
自覚症状の出ていない歯周病の検査として、歯周ポケット検査があり、軽度のうちに歯周病を見つけ、治療することができます。
歯周ポケットの治療は自宅で可能か？
深くなった歯周ポケットは治療可能です。しかし、その治療方法は歯周ポケットの深さによって異なります。
歯周ポケットの深さが3mm以下の場合、自宅でのセルフケアで改善が見込めます。しかし、4mm以上の深さになると、歯科医院での治療が必要となります。
歯周ポケットの深さが健康に及ぼす影響
歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなると、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。
歯周病は、心疾患や糖尿病といった全身の疾患とも関連があります。そのため、歯周ポケットの深さを適切に管理することは、全身の健康を維持するためにも重要です。
