歯の色が「黄色い」と気になる方は多いですが、実は“歯が全くの真っ白”という人のほうが少数派です。
歯の色には生まれつきの個人差だけでなく、普段の生活習慣も大きく関係しています。
ここでは、歯の色の仕組みや黄色くなる原因、歯を白くするための方法などをわかりやすくご紹介します。
なぜ歯が黄色いの?
歯の構造によるもの
歯は大きく分けると
- 「エナメル質(透明感がある)」
- 「象牙質(黄色みを帯びている)」の二層構造になっています。
エナメル質が厚い方は象牙質の黄色みが透けにくく、より白く見えやすいです。
逆にエナメル質が薄かったり、透明感が強かったりすると象牙質の色が透けて見え、やや黄味がかって見えます。
なぜ、エナメル質が透明感や白さを失ってしまうのか
エナメル質は一見、固くて滑らかに見えますが、実は「エナメル小柱」という細かい針状の構造が集まってできています。そのため、思った以上に傷つきやすい繊細な組織です。
エナメル質が透明感や白さを失ってしまう原因は、
- 硬い食べ物や、強すぎるブラッシングなどで、傷がつき、表面が荒れると、着色汚れ(ステイン)や歯垢がつきやすくなります。
- 歯垢の中の菌から発生する酸でエナメル質からミネラルが溶け始める(脱灰す
る)と透明感が失われていきます。 - 歯垢、ステインやヤニなどがエナメル質を覆い、歯の光沢が失われます。
このように、間違った歯磨きや生活習慣でエナメル質の健康と歯の白さを失っていきます。
歯のつやが失くなる-脱灰化-
「脱灰化」って何?
食事や飲み物に含まれる「酸」によって、歯のエナメル質が少しずつ溶け出してしまいます。これを「脱灰化」といい、時間が経つとお口の中は、中性に戻り(再石灰化)歯の健康を保っています。
しかし、だらだらと甘いものを食べ「脱灰化」の時間が長いと、バランスが崩れて脱灰が進みます。
脱灰化が進むとエナメル質の”つや”が失くなる
歯からミネラル成分が溶け出た状態が続くと、歯の表面にできるわずかな凹凸ができ光が乱反射して、つやや輝きがなくなり、黄ばみを目立たせます。
なぜ人によって歯の色が違うの?
1.生まれつき(遺伝的要因)
エナメル質の厚みや質、象牙質の色味は遺伝的に大きく左右されます。そのため、同じケアをしていても、もともと歯が白く見えやすい方と黄色く見えやすい方がいます。
2.加齢や生活習慣
年齢を重ねるほどエナメル質は薄くなり、象牙質が強調されやすくなります。加えて、飲食物の着色や喫煙などの生活習慣や歯石で黄ばみが進行するため、人によって歯の色に大きな差が生まれます。
3.歯科治療や薬剤の影響
過去の歯科治療で使われた充填物や被せ物の材質によっても、歯の色味が異なって見えることがあります。また、幼少期の抗生物質服用や病気の影響で、永久歯が生えたときから変色してしまうケースもあります。
歯が黄色くなる原因
- 飲食物の色素
カレー、コーヒー、紅茶、赤ワインなどの色素がエナメル質に付着しやすく、蓄積すると黄ばみやすくなります。 - タバコのヤニ
プラークや歯石などの汚れが付着していると、その上に着色が重なり、黄ばみを引き起こします。 - 歯垢や歯石の蓄積
喫煙をすると、ニコチンやタールの成分が歯の表面に付着し、歯を黄色っぽく変色させます。 - 加齢による影響
年齢とともに歯のエナメル質が摩耗して薄くなり、内側の象牙質の黄味が際立ってきます。 - 薬剤の影響
一部の抗生物質(テトラサイクリン系)を幼少期に服用すると、歯が黄ばんだり、灰色がかったりする「テトラサイクリン歯」という変色を引き起こす場合があります。
なぜそもそも黄色いの?
歯が生えてきた段階で、ある程度の黄色みを帯びているのは自然なことです。もちろん、歯の明るさや黄色みの度合いには生まれつきの差がありますが、完全な真っ白の歯はもともと少ないと言えるでしょう。
歯が黄色く見えるしくみ
歯は大きく分けて「エナメル質」「象牙質」の二層構造でできています。最表層のエナメル質は半透明で、その下にある象牙質が淡い黄色を帯びています。
- エナメル質が厚い人 … 象牙質が透けにくい → 歯が白く見えやすい
- エナメル質が薄い人 … 象牙質が透けやすい → 歯が黄色っぽく見えやすい
つまり、もともと歯が少し黄色がかって見えるのは自然なことです。
歯の黄ばみのレベルをチェック
自分の歯の色がどれくらいなのか、歯科医院ではシェードガイドを利用して現在の歯の色がどのぐらいなのわかります。
- 日本人の歯の色はシェードガイドで見ると、平均でA3.5ぐらいです。理想とされる歯の白さレベルはA1と言われています。
- B4レベルよりも歯の色が暗くなると歯の黄ばみが気になる方が多いようです。
歯を白くする方法
歯を白くするには、大きく分けて以下のような方法があります。自身のライフスタイルや目的・希望に合わせて選択するとよいでしょう。
1. プロによるクリーニング(PMTC)
まずは歯科医院や歯科衛生士による専門的なクリーニングを受けることがおすすめです。普段のブラッシングでは落としきれない歯石や着色汚れを徹底的に取り除くことで、本来の歯の色を取り戻すことができます。
- メリット: 清潔感が増し、むし歯・歯周病予防にもつながる
- デメリット: 経度~中度の着色なら十分効果的だが、本格的な黄ばみにはホワイトニングが必要な場合も
▶ 歯をクリーニングしたい
▶ アルプス歯科の予防歯科について
2. ホームホワイトニング
歯科医院で作成したマウスピースにホワイトニングジェルを入れ、自宅で一定期間装着する方法です。自分のペースでじっくりと歯を白くしていくことができます。
- メリット:比較的費用が抑えられ、自分の都合に合わせてケアできる
- デメリット:効果が出るまでに数週間~数ヶ月ほど時間がかかる
3. オフィスホワイトニング
歯科医院で専用の薬剤や機器を使い、短時間で歯を白くする方法です。即効性が高く、1回の施術である程度の白さを実感できます。
- メリット: はやく歯を白くできる
- デメリット:費用が高め、効果の維持には定期的なメンテナンスやホームケアが必要
4. デュアルホワイトニング
ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを併用する方法です。短時間で歯を白くすると同時に、ホームホワイトニングで色の後戻りを防ぎます。
※当院では「パーフェクトホワイトニング」の名称になっています
- メリット: 即効性と持続性を両立できる
- デメリット:費用が高め、効果の維持には定期的なメンテナンスやホームケアが必要
▶ パーフェクトホワイトニングについて
▶ ホワイトニングについて
5. ラミネートベニア・セラミック治療
歯の表面を薄く削り、セラミックや特殊な材料で作られたシェルを貼りつける方法です。歯の形や色を根本的に変えたい場合に選択肢に入ります。
- メリット:歯並びや色を大きく改善でき、仕上がりが美しい
- デメリット:歯を削る必要があるため、元の歯への負担を伴う
自分でできること<黄ばみの予防方法>
丁寧で正しい歯磨き
食後の歯磨きを習慣化し、夜寝る前には、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使用して丁寧に歯のケアを行いましょう。フッ素入りの歯磨き剤を使用するとエナメル質を強化して黄ばみがつきににくなります。また、正しい歯磨きができていると思っても意外とできていないものです。正しい歯磨き方法について、歯科医院で歯科衛生士に聞いてみることはとても大切です。
口腔保健教育プログラムの有効性
Priya Devadas Nakre et al. (2013)Effectiveness of oral health education programs: A systematic review
マウスウォッシュで歯を清潔に
抗菌作用のあるマウスウォッシュで黄ばみの原因である口腔内の細菌の繁殖を抑えます。
食後のうがい
着色しやすいものを飲んだり食べたりした後は、水でうがいを行うと、色素が歯に沈着するのを防ぐことができます。
禁煙
タバコの着色は、歯の黄ばみの大きな原因となります。日々タバコを吸い続けると黄ばみの層が積み重なり、簡単には落とせなくなってしまいます。禁煙をすると歯茎の血行がよくなり、歯周組織の免疫状態もあがります。歯周病をはじめ、身体、歯の健康状態をも改善しますので禁煙をおすすめします。
歯科医師からのアドバイス
まずはクリーニングで現状把握を
生活習慣やプラークの付き方などによって、実は歯表面の汚れが黄ばみの原因になっているケースも多いです。定期的なクリーニングを受け、必要に応じたホワイトニングを検討しましょう。
ホームケアの徹底が大切
毎日の歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスなどを活用することが重要です。コーヒーや紅茶、ワインなど着色しやすい飲食物をよく摂る場合は、飲んだ後に軽くうがいをするなど工夫してみてください。
無理のない治療法を選ぶ
あなたのライフスタイルに合ったそして費用面なども総合的に考慮し、最適な方法を選ぶことが大切です。気になることは歯科医師に遠慮なくご相談ください。
まとめ
歯の黄ばみのケアがわからない時はご相談ください
生活習慣を見直すことである程度の予防・改善が可能ですが、さらに白い歯を目指す場合はホワイトニングや歯科治療という方法があります。まずは歯科医院で自分の歯の状態をきちんと把握し、適切なケアや治療方法を選ぶことが大切です。
「歯が黄色いのが気になる」「どうやってケアすればいいのかわからない」という方は、ぜひ一度歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。適切な指導とケアを行うことで、自信をもって笑える白い歯を手に入れる第一歩となります。