口内炎の原因について
口内炎は、お口の中の粘膜に炎症がおきている状態です。
口内炎ができる主な原因は、以下の通りです。
- 疲労やストレス、睡眠や栄養の不足による免疫力の低下
- 口の中を噛んでしまったなどの
傷や熱傷が原因 - ウィルスや細菌などが感染してしまった
口内炎には様々な種類があり、
それぞれ病名がつけられています。
疲労やストレス、睡眠や栄養不足が原因の<アフタ性口内炎>
口内炎の中で多いのが「アフタ性口内炎」です。
ストレスや疲労などにより免疫力が低下していたり、
栄養バランスの乱れや睡眠不足などが原因と言われていますが
はっきりとわかっていません。
アフタ性口内炎の主な症状
- 白く浅いくぼみの炎症がある(潰瘍)
- 大きさは2〜10mm程度
- 飲食すると沁みる・痛い
アフタ性口内炎の対処方法
お口の中を清潔にすることと合わせ、
疲れやストレスを溜めないように
十分な睡眠、ビタミンB群を積極的に摂り入れた
バランスの良い食事を心がけ、
体の休息・食生活の改善を図りましょう。
口内炎に効く食材
ビタミンB2が多い主な食品
- ウナギ
- レバー
- いわし
ビタミンB6が多い主な食品
- ささみ
- 大豆
- マグロ
ビタミンCが多い主な食品
- レモン
- いちご
- ピーマン
口内炎ができている間、炎症を起こしている部分を刺激する食事を避け
歯みがきは、歯磨き粉を使わないことをおすすめします。
物理的な外傷が原因の
<カタル性口内炎>
カタル性口内炎は、頬の内側を噛んでしまった場合や
被せ物や入れ歯・矯正器具などが触れ、粘膜が傷ついてしまった時に、
細菌が繁殖することが主な原因と言われています。
カタル性口内炎の主な症状
- 口の中が赤く腫れる
- 水泡ができる
- 刺激物を食べると痛い、沁みる
カタル性口内炎の対処方法
入れ歯や矯正器具が触れて
傷ができてしまったことが原因の口内炎は、
歯科で器具の調整が必要であるため
歯科医院を受診しましょう。
そのほかの対処方法として 熱いものや刺激物を避け、抗生物質を含んだ
口腔用の軟膏や殺菌錠、トローチなどを使用します。
口内炎治療を目的とした市販薬を
薬局などで購入される時は症状を説明し、
薬剤師と相談してください。
うがい薬で口腔内を清潔に
保つことも効果的なケアの方法です。
イソジンのうがい薬は効く?
うがい薬というと「イソジン」を思い浮かべる人が
多いのではないでしょうか?
イソジンの主成分は「ポピドンヨード」です。
殺菌消毒効果が強く粘膜に使用可能なことが利点です。
イソジンうがい薬で口を清潔に保つことは有効だと言えます。
うがい薬の原液を傷口に直接塗ると早く治ると思われている方も
多いようですが、濃いと粘膜を傷つけることもあります。
原液のまま使うことは避け、説明書のとおり、
薄めて使用してください。
ヨードアレルギーや甲状腺の病気の方、妊娠・授乳中の方は医師に相談されるほうが良いでしょう。
様々なウイルスや細菌が原因の口内炎
ウイルスや細菌が原因の口内炎とアフタ性口内炎の違い
ウイルスが原因で口内炎ができることもあります。
カビの一種であるカンジダ菌や 単純性ヘルペスウイルスなどが原因です。
白い潰瘍ができるアフタ性口内炎と異なり、
・複数の小さな水泡(水ぶくれ)
・赤くただれる
・激しい痛み、発熱 などの症状がでます。
特にヘルペス性の口内炎のヘルペスウイルスは、人へ感染します。
タオルや食事した器などからうつるので、分けることが必要です。
対処方法
家庭での対処方法として、こまめに水分補給し、
刺激の強い食べ物をさけること、
タオルや食器などを分けておきたいものです。
治療方法は、原因となるウイルスや細菌によって異なります。
通常、アフタ性口内炎は自然に治癒することが多いですが、
ウイルス性の口内炎は発熱や激しい痛みも伴うことがあります。
口内炎と共に熱が出る場合は、
歯科や内科を受診されることをおすすめします。
口内炎にならないようにするには
口内炎は全身の状態が大きく関係しています。
体調や心身のバランスを整えることで
口内炎のリスクを下げることができると考えられています。
- 栄養バランスの取れた
食生活 - 十分な睡眠をとること
- お口の中を清潔に保つ
- ストレスを溜めない
また、歯垢や歯石などの汚れ、
お口の乾燥(ドライマウス)は 細菌が増えやすくなるだけではなく 口腔内の免疫も低下し口内炎になりやすいため
お口の中を清潔に保つ習慣は、欠かせない予防方法です。
- 優しく歯みがき
(粘膜を傷つけないように) - こまめなうがい
- 口呼吸をしない
- 水分の補給
- ガムをかむ
(唾液の分泌を促進)
入れ歯や矯正器具などをつけている場合は、細菌が繁殖しやすいので
器具の洗浄を頻繁に行い、器具が合っていないようであれば、
歯科医師に相談し調整が必要です。
歯にトラブルがなくても、 歯科医院での定期的な口腔ケアは、口内炎の効果的な予防にもなります。
ビタミンと口内炎
口内炎を予防して、治りやすくする栄養素の代表は 「ビタミンB群」と言われており、
・ビタミンB2は皮膚や粘膜を保護する役割があり
・ビタミンB6は皮膚、粘膜、歯などを生成する働きがある
と言われています。
ビタミンB2が多い食べ物
- 動物のレバー、ハツ
- うなぎ、さば、すじこ、いくら、たらこ
- 納豆や卵、チーズ など
ビタミンB6が多い食べ物
- レバー、ささみ
- まぐろ、カツオ
- ニンニク、ピスタチオやヒマワリの種 など
ビタミンB群のほかに
免疫機能の維持や肌や粘膜を保護する働きがあるビタミンA
全身のバランスを整えるビタミンC、
ビタミンは口内炎と深い関係があると考えられており
口内炎の発生を予防したり、治したりする働きが期待できます。
なかなか治らない口内炎、舌がん?
舌がんの症状
舌がんは、口腔に発症する癌(がん)の中で最も多い癌です。50歳以上の男性に発症することが多いと言われています。
初期の舌がんは、大きな症状はなく痛みもありません。
口内炎と見分けがつきにくく、ぷくっと腫れ、赤くなったり白くなったりし、進行すると出血したりします。そして硬いしこりができ、しびれや違和感がでてきます。
口内炎と舌がんの違い
口内炎との大きな違いは「なかなか治らない」ことです。
口内炎なら1〜3週間ほどで治りますが、舌がんの場合は2週間以上経っても治りません。
見た目は口内炎と同様に白い斑点がありますが、
炎症の箇所は、境目がはっきりせず、いびつな形をしています。また舌がんは、硬いしこりになります。
口内炎のような強い痛みはなく、痛みが出る時は全体的ではなく、特定の部分に感じます。
口内炎との違い
- 口内炎のような症状が2週間以上続く
- 炎症をおこしている箇所がいびつな形で、盛り上がりやしこりがある
- 出血することがある
- 初期は痛みが軽く、自覚症状がほとんどない
初期の舌がんは、アフタ性口内炎の症状と似ているため、舌がんにかかった人は「はじめ、口内炎だと思っていた」と言われます。
患部に触れた時に、表面がザラザラしていたり、硬いしこりのようなものを感じたら舌がんの可能性があります。またしびれを感じたり、舌を動かす時に違和感があったりします。
舌がんを疑う時、何科を受診すればいいの?
口内炎が「なかなか治らない」「いつもと違う」などを感じたら、口腔外科や耳鼻咽喉科(頭頸部外科)で精密検査されることをおすすめします。
普通の歯科医院でも対応してもらえる場合もあります。舌がんが心配な時は、特に早めに受診し、口腔外科の紹介状をもらうとスムーズに進むでしょう。
日頃から気を付けること
むし歯をそのままに放置していたり、合わない入れ歯や破れた被せ物で舌や頬を傷つけていたり、またお口の中が歯垢や歯石で汚れていたりすると、舌がんが発生しやすくなります。頬の粘膜にできる癌や唇にできる癌などの他の口腔がんも同様です。
舌がんの予防は、かかりつけの歯科を持ち、こまめな入れ歯の調整、むし歯や歯周病の処置、そして定期的なクリーニングを受けることです。お口の中を清潔に保つことで、舌がんのリスクを下げることにつながると言われています。
- バランスの良い食生活を心がける
- お口の中を清潔にする
- 合わない入れ歯、破れた被せ物、むし歯は放置せず治療をする
- たばこ、お酒を控える
治らない口内炎は歯科医院へ
他の病気が疑われる症状
ほとんどの口内炎は休養や栄養バランスを整えることで、
1〜2週間あれば治ることが多いのですが、
長期的(10日以上)に続いたり、
広範囲で発生しているなどの場合は
口内炎以外の病気が潜んでいるかもしれません。
何度も繰り返す、だんだん大きくなるなどの場合は注意が必要です。
また 歯の根の尖端に膿が溜まるフィステル(根尖病巣)が
口内炎と間違えられることもあります。
▶︎根尖病巣について
その他、口内炎だと思っていたら、
口腔ガンだったという稀なケースもあります。
口内炎が長引く時は、病院の受診をおすすめします。
口内炎と他の病気の見分け方
- 治るまでの期間が長引く
一般的な口内炎は1週間から2週間で治ることが多いです。
2週間以上続く場合は他の病気の可能性があります。
長引く、悪化する、もしくは次々と新しい口内炎ができてくるなどの症状が出てきた場合は注意が必要です。 - 炎症の部分の境目がはっきりしていない
口内炎は白い潰瘍の周りが赤く腫れ、円形や楕円の状態で、周囲との境界がはっきりしているのが、特徴です。それに対し、境界線がはっきりせず、いびつでただれていたりすると他の病気の可能性があります。 - 口内炎が痛くない
口内炎は激しく痛みますが、初期の舌がんや歯茎にできるフィステルもあまり痛みを感じることがありません。 - しこりがある
口内炎はしこりがありません。口内炎とまちがいやすい口腔がんは口内炎のようにみえる周囲にしこりがあります。
口内炎は何科を受診すれば良いですか?
口内炎は、歯科、口腔外科、耳鼻科の受診が一般的です。 子供の場合は小児科で見てもらうのも良いかと思います。
子供もできる口内炎
口内炎は大人だけがかかるものではありません。
子供が口の中を気にする仕草や食欲がないように見えた場合は
お口のなかをチェックしてみてください。
子供がかかりやすい口内炎
お口の中は体全身の健康状態が出やすく、
口内炎の症状が病気のサインである場合もあります。
- 手足口病
(頰の内側、舌や喉にまで口内炎ができ、
発熱を伴い、手のひらや指の側面、足に発疹や水泡ができる) - ヘルパンギーナ
(口の中に水泡ができ、喉にまで炎症がおきる)
手足口病やヘルパンギーナは子供特有の感染症で
発熱を伴います。 すみやかに病院の受診が必要です。
家庭でできる対処方法や予防方法
お菓子の食べ過ぎや好き嫌いが多いなど 栄養のバランスの偏りが原因で、
特にビタミンBが不足すると
お口の粘膜にトラブルが起こりやすくなります。
毎日の食事で上手に補うことが大切です。
子供の口内炎予防におすすめの食材
牛乳、卵、豆、ブロッコリー、きのこ類、牛・豚のレバーなど
口内炎ができると、その痛みから食事や水分まで避けてしまったりします。
食べやすいようにとろみをつけたり
薄めの味付けした柔らかいものがおすすめです。
口内炎になってしまった時の食べ物
・肉団子や白身魚
・よく煮込んだうどん、具だくさんの煮麺(にゅうめん)
・熱すぎないスープ、
・プリンやヨーグルト、すりおろしリンゴ など
水分も積極的にとって、
熱すぎたり、冷たすぎると刺激になりやすいので、体温と同じぐらいがおすすめです。
規則正しい生活を!
睡眠が不足して免疫力が低下すると口内炎になりやすいので 昼間にしっかり遊ばせ、夜は早めに眠る習慣をつけましょう。
保護者と一緒に遊べる時間が確保できると
子供のストレスが緩和されることもあると言われています。
また 歯みがきが上手くできていないと、お口の中で細菌が増えます。
歯は優しく丁寧にみがきましょう。
子供がいつもの様子と調子がちがったら
大好きなお菓子なのに、あまり食べない、機嫌が悪いなど、
様子がいつもと違ったら、お口のなかをチェックしてみてください。
口内炎ができているかもしれません。
子供は自分でうまく伝えることができないことがあります。
仕上げの歯みがきの時にお口の中全体をよくみて、早めに気づき、見つけてあげることが大切です。
口内炎 よくある質問
A:ストレスや疲労が溜まっている、食生活の偏っている、睡眠不足などで免疫力が下がっている人が口内炎になりやすいと言われています。
またお口のケアの不足(歯みがき)、唾液の分泌の不足でお口の中が乾燥している人は、口の中の細菌が繁殖し口内炎が発生しやすい環境になってしまいます。
日頃から口の中を清潔に保ち、規則正しい生活を心がけることが大切です。
A:ビタミンB群を豊富に含む食物は粘膜の新陳代謝を助け、正常な状態に保つと言われています。ビタミンB2やビタミンB6を積極的に取り入れてみましょう。
子供の口内炎のQA
A:かかりつけの小児科がおすすめです。歯科や耳鼻咽喉科でもよいのですが、発熱などを伴うウイルス性の感染症の場合もあるので、小児科で、口内炎だけではなく、全身の状態を総合的に診てもらうと安心です。
A:子供がよく口内炎になる場合は、歯みがきが上手くできずにお口の中が不衛生であったり、また身体の免疫力や抵抗力が弱っていると、口内炎ができやすくなります。栄養バランスの乱れも大きな原因です。
予防方法として、定期的な歯科医院の検診や歯磨きのアドバイスを受けること、規則正しい生活があげられます。また、甘いものの食べ過ぎは、口内炎に効くビタミンB不足を招きます。好き嫌いなく、何でも食べられるようになることが大切です。
成長をサポートする牛乳や卵はビタミンB2が豊富なので、毎日の食事で積極的に取り入れたいところです。食べ物の温度も注意するのもポイントです。
口腔ケアや生活習慣の見直しから
口内炎は免疫力低下のシグナルとも言われています。
食生活や睡眠など生活の環境を整えることはもちろん、
夜遅くにスマートフォンを見るのを控えるなど
神経をリラックスさせることが大切です。
また、定期的な歯科医院の検診で、詰め物や被せ物・入れ歯の状態などのチェックや口腔のケアで お口の中を清潔に保つことも重要なポイントです。
長引く口内炎は歯科医院へご相談ください。