すぐに口臭をなくす効果的な方法
大切な予定の前に急いで口臭をなくしたい時に有効かつ手軽な方法をご紹介します。
口臭タブレットを飲む
口臭対策用のタブレットは手軽に持ち運ぶことができ、口に入れるだけなので、時間がない時に素早く対応できます。特に、水で飲むカプセルタイプならば、体内からの口臭にも対策できます。
口臭スプレーを使う
口腔内に吹き込む口臭スプレーも携帯でき、人に会う直前や食後に使うと速やかに口臭を抑えることができます。
マウスウォッシュでお口の中を除菌
マウスウォッシュ(洗口液)で口をゆすぎましょう。
口臭の原因になる食べかすや歯垢をおとし除菌もできるため、口臭の予防効果があります。お口の中のねばつきを感じた時も有効です。
歯みがきをする
お口の中を清潔にすることで口臭を防ぐことができます。
お口の中をきれいにする基本は「歯みがき」です。食べかす、歯垢などをしっかり取り除くことができ、更に歯間ブラシやフロスを使うと細菌が増えるのを抑えることができます。
今日は臭わせたくない!
他に、飲み物や食べ物を工夫する方法もあります。
お茶(カテキン・ウーロン茶)や水を飲む
お茶や水はお口の汚れを洗い流してくれるだけではなく、水分を補給できるため、唾液の分泌の促進を期待できます。お茶に含まれるカテキンは抗菌作用もあります。
積極的に取り入れたい口臭予防に有効な食べ物
- キウイはタンパク質の消化を促し、消化不良による口臭を予防します
- りんごに含まれるポリフェノールは口臭の原因であるメリルメルカプタンの発生を抑えます
- パイナップルはタンパク質分解酵素ブロメラインを含んでいるため、舌苔を除去する働きがあります
- 強い酸味があるレモンや梅干しは、唾液の分泌を促進し、細菌の増殖を抑えることができます
においの強い飲み物や食べるものに気をつける
においの強いニンニクやニラ、コーヒーやタバコも口臭の原因です。口にする頻度を減らし、大事なシーンの前にはそれらを食べたり飲んだりしないようにしましょう。
多くの人が口臭を気にしています
約9割の人が「口臭が気になる」と答えています。またお口の中の悩みについて、男性では「口臭」が1番の悩みです。
日本人の口臭に対する意識と悩み
出典:若林健史(日本歯周病学会 理事 専門医・指導医)、(2019年5月29日)『口臭白書2019』
口臭白書は、歯科医療総合商社のモリタや歯科医師らが参加する「ブレス・ハザードプロジェクト」が、2019年に行った調査です。
鼻は、周囲で常時発生するにおいの感じ方が弱くなります(嗅覚疲労・嗅覚順応)。つまり自分の口臭は、ほとんど感じにくいということです。そのため、口臭を気にする人が多い一方、強いにおいに無自覚な人が多いと言われています。
口臭の原因・実態
出典:山賀 孝之(松本歯科大学 歯学部 公衆衛生学講座 教授)、(2019年12月18日)厚生労働省「e-ヘルスネット」
自分は口臭があるのか、セルフチェック!
唾液でチェック
舌の上や歯と歯茎の間などを指や綿棒で触れて、唾液のにおいを嗅ぎます。
唾液がにおう場合は、口臭の可能性があります。
ほかには、使用したフロスやつま楊枝などのにおいで確認することもできます。
息でチェック
コップやビニール袋などに息を吹き込んだあと、蓋をして、中のにおいを嗅ぎます。
他には、市販の「口臭チェッカー」で検査することもあります。
口臭の原因
口臭の原因は大きく分けると4つです。
- 生理的口臭(起床直後や空腹時などによる一時的なもの)
- 心因性口臭(ストレスや緊張時など)
- 病的口臭(歯周病や消化器・鼻などの体の疾患由来によるもの)
- 外的要因の口臭(食べ物、飲み物、タバコなどが原因)
その中でも特に、病的な原因は、慢性的に発生し、周りの人に不快を与える口臭だと言われています。
歯周病などの病的口臭
歯周病やむし歯が原因
病的な口臭において、最も多い原因である「歯周病」は、30代半ばから約半数の人が歯周病を有しています。
つまり、多くの日本人が「口臭のリスク」を抱えていることになります。歯周病は細菌の感染で歯茎が炎症を起こす病気です。歯周ポケットができ、細菌が繁殖し口臭のもとになる硫化水素やメチルメルカプタンが発生します。
また、お口の中にむし歯があると、あいた穴に食べ物が詰まったり、歯の内部で細菌が繁殖し、口臭の原因になります。またむし歯菌で歯の神経が腐敗したり、歯の根に膿がたまったりすると、口臭が発生します。
消化器など体の疾患
肝機能や腎機能の低下や糖尿病、悪性腫瘍などで代謝産物が血液の中で増えて口臭が発生したり、口の中に慢性鼻炎、副鼻腔炎などの炎症の膿が流れて口がにおったりします。
舌苔が原因
舌についた汚れのことで、細菌などを多く含み、口臭を引き起こします。
膿栓(臭い玉)が原因
臭い玉と呼ばれる膿栓は扁桃腺にできる白いカタマリです。扁桃腺の穴に細菌や白血球の死がいや食べ物のかすなどが溜まることが原因です。ドブのような強い悪臭を発し口臭の原因になります。
起きた時などの生理的口臭
生理的な口臭は誰にでもありますが、強い人、そうでもない人、様々です。この差は唾液の分泌量に左右され、唾液が少ないと口腔内の雑菌が増えるために、口臭が発生します。
起床時や空腹の時間、お口の中が乾燥している時は、注意が必要です。
心因性の口臭
強いストレスや緊張した時、唾液の分泌が少なくなります。唾液の分泌は自律神経(交感神経と副交感神経)によって調節されており、リラックスしている時は副交感神経が働き、唾液の分泌が促進されます。反対に強いストレスがある時に、交感神経が優位になると唾液の分泌が減ってしまい、口臭が強くなります。
食べ物などの外因的口臭
ニンニクやニラ、コーヒーやアルコールなど、においの強い食べ物や飲み物を摂ると消化吸収したにおいの成分が血液中に移動し、吐く息として出てきてしまいます。
女性のほうが口臭がつよい?
口臭を測定したグラフをみると基準値をオーバーした人の割合は、男性に比べて女性の方が上回るのがわかります。
その理由として、女性ホルモンが特定の歯周病菌を増殖させたり、歯ぐきの炎症を悪化させたりすることがわかっており、女性は男性よりも、病的な口臭の原因である「歯周病」になりやすいからです。
つまり、ホルモンバランスが大きく変化する「思春期」「妊娠・出産」「更年期」の3つのタイミングで、女性は歯周病のリスクが高くなります。特に妊娠期は唾液の分泌量が減り、つわりなどで歯みがきやうがいができないなどの理由で口腔環境が悪化してしまいます。
唾液の分泌の低下や歯周病リスクが高まり、口臭に要注意です!
根本的に口臭を治したい!
口臭には様々な原因があります。原因に合わせた対策をとることがおすすめです。
歯科で歯石や歯垢をとる!プロのケアが大切です
口臭の対策の基本はセルフケアの歯みがきです。毎食後にしっかりと歯を磨き、歯の汚れから発する口臭を防ぎましょう。歯間ブラシ、フロスなども併用し歯ブラシで落ちにくい汚れをしっかり落とすこともポイントです。
また歯科医院で定期的なクリーニングを受けることも重要です。定期的に通うことで、むし歯になっていないかなどの検診も可能です。なかなかご自身だけでは、お口の中をきれいにすることはできません。お口の環境を整えるために、歯科医院での検診をおすすめします。
歯周病、むし歯の治療をする
口臭の原因として1番にあげられるのは、歯周病です。歯周病の原因である歯石は、ご自身で取り除くことができません。歯科医院の専用の器具で除去し、細菌を減らしていきます。むし歯が原因の場合は、お口の清掃をした後に治療します。
ドライマウスを防ぐ
唾液の分泌は細菌の繁殖を抑えてくれます。
唾液を分泌させる有効な方法は、水分をとったりガムを噛んだりすることです。
またストレスで交感神経が働くと唾液の分泌が妨げられます。睡眠をよくとり、生活の習慣を整えることも大切です。
噛み合わせや歯並びも口臭と関係します
噛み合わせや歯並びが悪いと、口臭が発生します。
噛み合わせが問題で口があいてしまう癖があると、口呼吸になり口腔内が乾燥します。
そして歯並びが悪いと、歯の磨き残しが生じます。
噛み合わせや歯並びで問題を感じられた場合は歯科医院に相談されてもいいかもしれません。
入れ歯が原因?入れ歯のお手入れをする
入れ歯には部分入れ歯、総入れ歯があります。どちらもお手入れを怠ると汚れがたまり、においが発生します。
保険の入れ歯の場合、レジンと呼ばれるプラスチックの素材が使用されており、吸水性があるため、においも一緒に付いてしまいます。また傷がつきやすい素材であるために、汚れもたまりやすくなります。
部分入れ歯も総入れ歯も装着したままでは十分な洗浄ができないため、汚れた状態で口腔内にあることが多いです。口臭の原因になるだけではなく、歯周病やむし歯のリスクも高くなります。
基本的に入れ歯は、毎食後、外して洗い、寝る前には、必ず洗浄液につけて除菌します。部分入れ歯の場合は、ご自身の歯みがきを済ませたあとに入れ歯の装着がおすすめです。
入れ歯をインプラントに
口臭が気になるのであれば、インプラントの選択もあります。
インプラントは歯茎に歯根部分を埋入し、その上に被せ物をする治療です。被せ物がセラミックの場合はレジンよりも傷がつきにくく、吸水性がないため、衛生面で優れており、汚れによる口臭を改善できる可能性があります。
口臭のお悩みを歯科医院に相談してみましょう!
口臭が気になる場合は、一度歯科医院に相談をおすすめします。
おすすめの市販グッズ
生理的な口臭や外因的な口臭は、日常的な口臭ケアで、抑えたり、予防できたりします。
原因や状況に合わせ、ご自身にあった口臭ケアを選ぶと、効率よくケアができます。
マウスウォッシュは、界面活性剤が含まれてないものがおすすめ!
マウスウォッシュ(洗口液)は、口臭の原因のもとであるタンパク質を固めて落とすタイプのものや不快なにおいを隠す力が強いもの、歯面の汚れを落としやすくするものなど数多くあります。
配合成分で注意したいのが、アルコールや界面活性剤です。
アルコールは爽快感が強く得られるのですが、唾液を減らし口腔内が乾燥してしまうことがあるため、ノンアルコールタイプの方がおすすめです。
界面活性剤入のマウスウォッシュは、長期間また頻繁に使用すると歯の表面に油膜を形成し、歯の健康維持の役割である口腔常在菌を排除してしまう可能性があります。また味覚を感じる味蕾細胞を傷つける可能性もあり、味覚が鈍感になることもあるかもしれません。
マウスウォッシュで使用されている主な界面活性剤・ラウリル硫酸Naやプロピレングリコールには注意が必要です。
・ノンアルコールのものを、そして
・界面活性剤不使用 のマウスウォッシュがおすすめです。
殺菌成分が含まれている歯みがき粉がおすすめ
病的な口臭の代表的な原因のひとつとあげられる歯周病を予防するには、殺菌作用がある歯みがき粉がおすすめです。
歯周病菌を殺菌する作用がある成分は、
- 歯垢を除去する作用のあるIPMP(イソプロピルメチルフェノール)や塩化セチルピリジニウムなど
- 歯みがき時の出血に有効なトラネキサム酸
- 抗炎作用のある酢酸トコフェロール などがあります。
もう1つ、着目のポイントは歯みがき粉の成分のひとつである発泡剤です。
発泡剤が含まれているものは、歯と歯茎の間に効率よく行き渡らすことができますが、発泡剤が多いと磨けているところと磨けていないところの区別がつきにくく、磨き残しの原因にもなります。
※歯周病は、歯みがきで予防することはできますが、歯周病を治すことはできません。
ご自宅での歯みがきのケアと併せ、歯科医院での定期的な検診をされることがおすすめです。
舌のクリーナー
生理的な口臭は舌苔(舌の汚れ)が主な原因です。毎日の歯みがきはもちろんですが、舌の掃除で舌苔を取り除くことは実は大切なのです。歯みがきのあとに歯面から落ちた汚れや細菌を除去できるからです。舌苔を除去する方法を間違わなければ、デメリットはなく、むしろメリットが多く、毎日されることがおすすめです。
除去するおすすめのタイミングは起床時です。
睡眠中は唾液が減少し、口内の清浄作用が低下、起床時には舌苔がついている状態だからです。
舌の粘膜は傷つきやすいので普通の歯ブラシを使用したり、何度も繰り返しすることは避け、舌専用のブラシやジェルを使い起床時にやさしく行いましょう。
舌のクリーナーを使う時の注意点!
- 歯ブラシは使わず、専用のブラシで磨く。
- ジェルは舌を傷つけないように研磨材や発泡剤は含まれていない専用のものを使う。
- 1日の舌の掃除は起床時の1回でOK(それ以上は粘膜を傷付けます)。
口臭の治療・予防
出典:山賀 孝之(松本歯科大学 歯学部 公衆衛生学講座 教授)、(2019年12月18日)
厚生労働省「e-ヘルスネット」
薬用(医薬部外品)のマウススプレーがおすすめ
マウススプレーは、マウスウォッシュと比べると浄化力は弱く、発生した口臭を抑えるのではなく、口臭の発生を防ぐと言われています。マウススプレーには「薬用(医学部外品)」と「化粧品」の2種類あります。殺菌作用がある薬用成分は「化粧品」には含まれていないので、薬用のものがおすすめです。アルコールの有無もチェックが必要です。
アルコール成分は殺菌作用はありますが、口内が乾燥し、口臭の原因になることもあるため、何度も使用される場合はノンアルコールの方がよいでしょう。
口臭は自分だけでは治せません
歯みがきの回数と口臭のレベルは関係ありません
多くの人が悩んでいる口臭ですが、ご自分でしっかりとセルフケアしている人は「口臭がしないのかどうか」という調査がされました。
1日あたりの歯みがきの回数別に「口腔測定 スコア基準値」を比較したところ、
- 1日2回以下で基準値を越した人の割合 :12.0%
- 1日3回以上で基準値を越した人の割合 :14.2%
回数が多い人の方が口臭のスコアが基準値をオーバーする結果となってしまいました。
このことから、口臭ケアは、ご自身では限界があることが伺えます。
「病的口臭」は、セルフケアでは解消できず、歯科医院に通院して治療を受けることが必要です。病的な口臭の発端は、磨き残しが原因の歯垢です。磨き残しは、歯を磨く時のくせや歯ならび・骨格などで生じてしまうからです。
歯周病やむし歯の有無を問わず、定期的に歯科医院へ通い、歯のクリーニングや正しい歯みがきのアドバイスをうけることで口臭の問題を解消し、予防することが重要です。
調査から見えてきた、日本人の口臭ケアの課題とは
出典:
「口臭ケアの意識」調査 「口臭レベルの実態」調査『口臭白書2019』